あるメキシカン カップルの話 | 人種のルツボでカリフォルニア生活

あるメキシカン カップルの話

       6.10

 今日は皆が浮き足立つ金曜日。仕事を終え、西向きのバス停で夕日を眺めバスを待つこと5分。定刻通りの7時50分、海のある、少し薄暗くなり始めた南の方向からいつものバスがやって来た。


 毎日乗り合わせる顔なじみに、メキシコ人カップル(関連記事 )がいる。前回の記事以来3ヶ月が過ぎた。あれからというもの、私と彼らの距離は大分近づいた。初めは軽く挨拶を交わすようになり、そして、あるきっかけとなったのが、彼女といつも一緒の彼が乗り合わせなかった時の事。私のすぐ後ろに彼女が座り、普段と変わらず挨拶をし、
そこから色々と話に花が咲いた。彼女の名前はジョアナ。近くの空港で働いている。年齢は未だ知らず、見た感じでは40代後半であろうか、彼の方が少し若く見える。そして不倫かな?と思っていた彼らの関係は、恋人同士。薬指の指輪は彼からのプレゼントだった。先にバスを降りていく彼、実はかなり大回りしていた。ジョアナと長い間一緒にいたくて、彼の家とは全く反対方向に30分ほど遠回りして毎日帰っていたのだ。大きな愛で包まれているジョアナ。しかし彼の方は結婚したがっているのに、なかなか彼女が煮え切らないらしい。年齢を気にして、と彼女は言う。私は、あの優しそうな彼と幸せになって欲しいな。


 今日も帰りのバスの中、ジョアナと彼とまた一緒。

「ハーイ。やっと週末ね。疲れたわー。」

と、どちらとも無く私達は挨拶を交わした。彼が降りていってからは私が彼女の隣に座る。私のバス停までわず5分足らず、世間話を少しするのが最近の日課だ。お互いの彼の話、週末の予定などなど。そして別れ際、いつもの挨拶。

「良い日を!いいわね!」

と、ジョアナの威勢の良い元気な声を背中で受けながら、今日も私はいつのまにか暗くなったバスの外へと飛び出した。


                 6月11日 00:58

      
                             
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